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NY生まれのゲーム好きな青年は、なぜ日本で起業したのか?埋もれたプロ達の救世主「Zehitomo」の展望──Founders Night Marunouchi vol.12

NY生まれのゲーム好きな青年は、なぜ日本で起業したのか?埋もれたプロ達の救世主「Zehitomo」の展望──Founders Night Marunouchi vol.12

2020年7月8日(水)、三菱地所が運営するEGG JAPANのビジネスコミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」が共同開催する「Founders Night Marunouchi」を実施しました。

このイベントは、スタートアップの第一線で活躍する経営者から学びを得るもの。

今回は、株式会社Zehitomo代表取締役CEOのジョーダン・フィッシャーさんが登壇。同社はカメラマンやパーソナルトレーナーといったさまざまな「プロ」と、仕事を依頼したいユーザーをつなぐマッチングサイト「Zehitomo」を運営しています。

ニューヨーク生まれのゲーム好きな青年は、なぜ日本を訪れ、Zehitomoを立ち上げたのでしょうか。イベントでは、サービスに込めるフィッシャーさんの想いやサービスの変遷が語られました。モデレーターはPeatix Japan取締役の藤田祐司さんが務め、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志が登壇しました。

 

「是非ともお願いします!」と言ってもらえるサービスへ

「日本は住みやすくて、すぐに大好きな国になったよ!」と、白い歯を見せて軽やかに話すフィッシャーさん。イベント冒頭では、日本に来た経緯を教えてくれました。

ニューヨーク生まれのフィッシャーさんは、PCでゲームを作るのが大好きな少年でした。その後、ゲームで活用されるAIを学ぶために、南カリフォルニア大学のコンピュータサイエンス専攻に進学。同時に、有名なゲーム会社が多い日本での就職を目指し、日本語の勉強も始めたと言います。

コンピューターサイエンス一色だったフィッシャーさんでしたが、就職したのは金融会社のJPモルガン・チェース。その理由について、「ゲーム会社でバグの処理や解析をするよりも、大きな課題を解決できるビジネス領域で活躍してみたかった」と語ります。就職してから6年後には、ヴァイスプレジデントに昇進し、電子取引セールストレーダーとなるなど、成果を上げていきました。

その後、2015年に共同創業者のジェームズ・マッカーティーさんと意気投合して起業。事業アイデアを検討する中で、Zehitomoにたどり着いたのです。

zehitomo02

フィッシャーさん「さまざまな事業を検討していた頃、ちょうど子どもが生まれて。子育て中心の生活になったことで日々の見え方が変わり、Zehitomoへの挑戦を決めました。

たとえば、家事や日常の困りごとに使える時間が減る中で、水道管の修復や引っ越しの作業などをどの事業者に頼めばいいかわからなくて。会社の数は多いし、依頼してみると高額な価格を提示されることもありました。納得できずに、色んなサービスを比較してみると、なかなかWeb上には露出していないけれど質の高いサービスを提供者が多くいることに驚いたんです」

これらの課題にある背景ついて、フィッシャーさんは次のように言及しました。

フィッシャーさん「アメリカ育ちの私から見ると、日本のローカル市場には質の高いサービスを提供している個人や中小企業が多い。でも、マーケティングが上手い人や広告に費やす資金がある企業の中に埋もれてしまい、プロのサービスがユーザーの目に触れられない状況になっているんです」

そこで、フィッシャーさんは「是非とも、お願いします!」とユーザーが市場からは見えにくい状態にあるプロにも依頼できるようになってほしいという思いを込めて、Zehitomoを開発しました。

 

こだわり続けるのは、プロに「出会いの場」を提供すること

当日は、YouTubeで配信をしていたため、閲覧していた参加者の方からも質問が寄せられました。

「『シェアリングエコノミー』という言葉が普及し、すき間時間や休みの日に自分のスキルを生かして仕事をする人が増えてきました。それに伴い、多くのスキルシェアサービスが生まれていく中で、フィッシャーさんは今後のシェアリングサービス市場をどのように考えているでしょうか」

この質問にフィッシャーさんはこう答えます。

フィッシャーさん「スキルシェアは市場として生まれたばかりで、未成熟な状態だと考えています。市場は20兆円規模といわれているにも関わらず、オンライン化もまだまだ進んでいません。だから、この段階で、競合が増えていることは気にしていません。それよりも、ローカルにいるプロのためのプラットフォームとして、グロースすることが何より大切です。私たちはタウンページをオンライン化したようなサービスとして、Zehitomoが根付くことを目指しているんです」

プロに寄り添うサービスをどう作るのか。フィッシャーさんはビジネスモデルの特徴を挙げます。

フィッシャーさん「私たちはプロとユーザーのより良い『出会いの場』を提供することにこだわっています。そのため、一般的な仲介手数料型のモデルにするのではなく、Zehitomoは依頼に対して見積もりを送る段階で、ユーザーへ1回の提案につき500円程度払っていただくという仕組みをとっています。これにより、本気で仕事をしたいプロの提案がユーザーに集まり、質の高いマッチングを可能にします」

また、2019年2月にはAIを活用した機能「スピードマッチ」を開発。ユーザーから依頼を受けた際に、AIがZehitomo内のデータベースの中から依頼内容に合うプロを判断し、ユーザーに提案。ユーザーとプロがより簡単に出会いやすくなったといいます。

画像2スピードマッチのイメージ図

登録するプロやユーザー数が順調に増えている一方、フィッシャーさんは「まだ序の口。今後も毎年10倍成長を目標にする」と語ります。2020年6月には、シリーズBで8.2億円の資金調達を発表。今後は、より多くのプロに出会いの場を提供し、今よりも100倍便利なサービスにしていきたい――。そんなフィッシャーさんの言葉で、イベントは締めくくられました。

 

▼当日のセッション

 

次回のFounders Night Marunouchiは、7月22日(水)に開催予定です。
どなたでも無料でご視聴頂けますので、こちらよりお気軽にお申し込みください。

【過去Founders Night Marunouchイベントレポート一覧】
https://www.the-mcube.com/journal/journal_tag/founders-night-marunouchi

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