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なぜ世界59カ国で支持されるサービスとなれたのか。Repro株式会社代表取締役が語る、2度の失敗を経て得たもの――Founders Night Marunouchi vol.2

なぜ世界59カ国で支持されるサービスとなれたのか。Repro株式会社代表取締役が語る、2度の失敗を経て得たもの――Founders Night Marunouchi vol.2

2019年11月6日(水)、東京21cクラブではスタートアップの創業者がサービス立ち上げのきっかけから成功までの軌跡を語る「Founders Night Marunouchi」を開催しました。

同イベントは丸の内に拠点を置く国内外のスタートアップや大企業が集まるオープンイノベーションに特化したコミュニティ「東京21cクラブ」と、イベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」との共同開催です。1回目はPeatix Inc. CEOの原田卓さんらが登壇し、同サービスの創業秘話などが語られました(1回目のイベントレポートはこちら)。

2回目となる今回は、Repro(リプロ)株式会社代表取締役の平田祐介さんがゲストとなりました。Peatix Japan取締役の藤田祐司さんが聞き手として登壇。平田さんが手がけるReproは2015年にリリース。Webサイトやアプリに訪れるユーザーの行動や属性情報を分析し、ユーザーに最適な体験を届けるのを支援するマーケティングプラットフォームです。

今回のイベントを通じて平田さんが一貫して伝えたメッセージは、信頼が大切ということ。起業3度目にして、世界59か国(2018年11月時点)で利用されるサービスを生み出した平田さんが、その裏側でどのように失敗を乗り越えてきたのかを紹介していきます。

共同経営者の会社の私物化、800万円の借金を乗り越えてRepro設立

イベントの冒頭、まず平田さんからは起業家を志したきっかけについて語られました。

高校生時代から思い立ったらすぐ行動に移していた平田さんは、海外に憧れてバックパッカーに。世界を旅するなかで自由に働きたいという気持ちを抱き、起業家の道に進むことを決意したそうです。しかし、成功への道のりは困難の連続でした。

1度目は、知人とともに起業。しかし、共同経営者に会社を私物化されてしまうという問題が発生し、それとともに会社を離れるという決断をしたそうです。

2回目の起業では、IT領域に挑戦したいという気持ちから、EC事業を立ち上げた平田さん。そこでも成果が得られず、800万円という借金を背負う事態まで追い詰められます。

Repro02_resizeRepro株式会社代表取締役平田 祐介さん

藁にもすがりつく勢いで、グロースハッカーの知人にEC事業が軌道に乗らないことを相談。しかし、送られてきたのはサイト分析ツールのURLだけでした。試しにそのツールを使うと、ユーザーの行動が可視化され、購買に至らない理由が少しずつ見えてきました。

根気強くユーザーの動きを分析しWebサイトのコンテンツを改善すると、売り上げはどんどん改善されていきました。改善から1か月後には黒字化も達成。サイト分析ツールにより事業を成功に導いた平田さんは、「アプリ版の分析ツールを開発したら多くの事業に貢献できる」という思いからEC事業から離れ、2014年にReproを設立しました。

平田さん「2社の起業を経ての学びは、初期に働くメンバー編成が重要ということ。特に創業時は資金の余裕がないので、同じようなスキルを持つ人が集まると、成長のスピードが落ちます。違うスキルを持ち、信頼できる人と事業に向き合うことが必要不可欠です」

Repro03_resize左手:Peatix Japan 取締役 藤田 祐司さん

元インターン生がショート寸前の会社を救う

こうして生まれたReproでしたが、サービスが軌道に乗るまでにも険しい道のりが待ち受けていました。その一つとして、平田さんが挙げたのは「資金繰り」です。

なかなかサービスの販売が進まない中で、突破口となったのが招待性カンファレンス「B Dash Camp」のピッチイベントでの優勝だったといいます。1か月で数百万円の受注につながるなど順調に事業は進んでいたとき、突然電話が立て続けにかかってきたそうです。

平田さん「突然クライアントから『サービスが利用できない』と連絡があったんです。ピッチイベントを機に一気に受注をいただいたことで大量のデータが入ってくるわけですが、それに耐えうるサービス設計になっていなかった。改善にどれほどの時間がかかるかわからず、解約覚悟で営業責任者とクライアントへお詫びに行きました。しかし、クライアントから『失敗があって当然。応援しているから解約はしないよ』と言っていただけて。結果、解約数は0件でした。

なんとかサービスの再開にこぎつけたものの、今度は会社の資金がショートする寸前という状況になりました。急いで資金調達先を探しましたが、なかなか見つからず。しかし、株式会社ジャフコ(ベンチャーキャピタル)で働いていたReproの元インターン生が『あんなに働いている平田さんが成功しないはずがない!』と社内で熱弁してくれたことで、最終的に3億円の資金調達が決定しました。クライアントに価値を発揮するために、とにかく働いたという前提はありつつ、これまで関わってくれた人たちのおかげで、Reproの成長は支えられたといえます」

このような歩みを経て、Reproは世界59カ国に展開するサービスとなりました。2019年6月にはシンガポールに法人を設立し、2020年には別のエリアにも進出を計画中。愚直に足を動かしながら周囲との信頼関係を大切にする同社のさらなる飛躍に、今後も注目です。

Repro04_resize

イベント終了後は、参加者が自由に交流を行う懇親会を実施。スタートアップと大企業で働く方々が入り交じり、それぞれの事業に対する意見交換を活発に行っていました。

次回のFounders Night Marunouchiは、12月4日(金)に開催予定です。ココナラ代表の南 章行さんが登壇。 興味がある方はぜひご参加ください(チケットのお申し込みはこちら)

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