JOURNAL

自己表現の場はオフラインからオンラインへ。ファッションテック領域の挑戦者、ZOZOテクノロジーズ代表が語る業界の未来――Founders Night Marunouchi vol.9

自己表現の場はオフラインからオンラインへ。ファッションテック領域の挑戦者、ZOZOテクノロジーズ代表が語る業界の未来――Founders Night Marunouchi vol.9

2020年5月27日(水)、東京21cクラブにてイベント・コミュニティ管理サービス「Peatix」と共同開催のイベント「Founders Night Marunouchi」を開催しました。

このイベントは、スタートアップの創業者がサービス立ち上げのきっかけから現在までの軌跡を語るもの。新型コロナウイルスの影響で、2月以降はイベントを中止していましたが、5月からオンラインで開催しています(前回のイベントレポートはこちら)。

今回は、ZOZOグループのサービス開発やデザイン等の制作業務全般を担い、テクノロジードリブンな新規事業の創造を目指す株式会社ZOZOテクノロジーズ代表取締役CINO(Chief Innovation Officer)の金山裕樹さんが登壇。モデレーターはPeatix Japan取締役の藤田祐司さん、東京21cクラブ運営統括の旦部聡志が務めました。

株式会社VASILYの創業者である金山さんは、2017年に同社をZOZOグループ(当時:スタートトゥデイグループ)に売却。新しく発足されたZOZOテクノロジーズ(当時:スタートトゥデイテクノロジーズ)の代表取締役CINOに就任しました。イベントでは参画までの経緯や、金山さんが考えるファッション業界の未来について話されました。

 

インディーズバンドから、ZOZOテクノロジーズ代表へ。金山氏の異色の経歴を辿る

 

イベント冒頭、金山さんがどのような経歴を経て、ZOZOテクノロジーズ代表取締役CINOに就任したのかが語られました。

事業家である両親の背中を見て育った金山さんは、会社員になるのではなく、好きなことを突き詰めながら自分の腕で稼いでいきたいと、幼少期から考えていたといいます。

その一歩として、音楽が好きだった金山さんは、大学在学中にインディーズバンドを結成。2000年にはフジロックフェスティバルにも出演するなど、その道で生計を立てようと活動していました。しかし、レコード会社から声はかかったものの、目指す方向性の違いなどから最終的な契約には至らずバンドは解散。

その後、2003年に当時CS放送局だった株式会社VIBEに入社。音楽情報サイトの企画、運営に携わることになります。

zozo02

株式会社ZOZOテクノロジーズ代表CINO(Chief Innovation Officer) 金山裕樹さん

 

その後、ヤフー株式会社でライフスタイルメディアの立ち上げに関わり、29歳のときにVASILYを設立。同社が運営するファッションコーディネートアプリ「IQON(2020年4月にサービス自体はクローズ)」は、2014年末には200万ダウンロードを達成。コーディネートのインスピレーションを得られるだけでなく、気に入ったアイテムをすぐに購入できる同サービスはユーザーからの支持を獲得し、事業は順調に進んでいるかと思われました。

しかし、その後事態は急変。ファッションに特化したSNSやキュレーションメディアが勃興し、競争が激化したのです。その時、M&Aのオファーをしたのが、ZOZOグループの創業者である前澤友作さんでした。

金山さん「オファーをもらったばかりの時は、まだまだ単独で戦えるはずだという気持ちが実は強かったんです。でも、ある日前澤さんが、ZOZOが目指すファッション業界の未来について語ってくれて。『全ての人がジャストサイズの服を着られる世界観を実現し、ファッション業界のインフラになる』ZOZOSUITなどの構想などを聞いて、まさに自分がやりたかったことだと衝撃をうけました。一人で目指すよりも、タッグを組んだ方がより早く、大きなインパクトを世の中に与えられると直感したんです」

そして2017年、金山さんはVASILYを売却し、ZOZOテクノロジーズ代表に就任しました。

 

アイデンティティの表明の場はオフライン空間から、オンラインへ

 

スクリーンショット 2020-05-27 16.10.39

次に、イベントでは金山さんが考える業界の展望について語られました。

金山さん「以前まで、ファッションは自己表現を行い、アイデンティティを示す重要な手段でした。でも、SNSなどを通じて、今や自己表現の舞台はオンラインに広がっています。タピオカの写真をSNSに投稿したり、ゲーム上でキャラクターに自分好みの服を着させたり。自己表現の舞台がオフラインからオンラインへと広がった今、すべての企業が競合となりうる。そのなかで、どうファッションを際立たせていくかが大切になっていきます」

こうした業界の変化を踏まえ、4月に発表された経営方針で、同社は今期「売り場の拡張」と「商材の拡張」に力を入れると発表。例えば、グループ会社のヤフーが運営する「PayPayモール」に「ZOZOTOWN」を出店するといった、売り場の拡張を進めています。

「ファッション=アパレル(衣服)という固定概念を捨て、ファッション=ライフスタイルという新たな枠組みで事業を構築する。そして、靴やコスメ、その他あらゆる商品を幅広く展開していきたい」 そんな金山さんの決意が述べられ、イベントは締めくくられました。

次回のFounders Night Marunouchiも、6月24日(水)にオンラインで無料配信にて開催いたします。詳細が決まり次第、近日中に本サイトEVENT INFORMATIONにてお知らせいたします。興味がある方は、ぜひご参加ください!

OTHER JOURNAL

脳ドック、農業DX、コミュニケーションロボットなど。テクノロジーの力で社会を変革する、東京21cクラブメンバー5社が登場──丸の内フロンティア定例会「Startup Pitch in Marunouchi」

READ MORE

脳ドック、農業DX、コミュニケーションロボットなど。テクノロジーの力で社会を変革する、東京21cクラブメンバー5社...

2024.4.28

「世界一」医療の制度が整った日本で、オンライン相談サービスを立ち上げたKids Public・橋本氏の挑戦───Founders Night Marunouchi vol.39

READ MORE

「世界一」医療の制度が整った日本で、オンライン相談サービスを立ち上げたKids Public・橋本氏の挑戦───Founders Ni...

2024.4.28

きっかけは、出産・育児。「日本の金融リテラシーを上げる」ため、未経験のアプリ開発に挑む───Founders Night Marunouchi vol.38

READ MORE

きっかけは、出産・育児。「日本の金融リテラシーを上げる」ため、未経験のアプリ開発に挑む───Founders Night Marun...

2024.4.28

EXPLORE MORE